音味

音響や配信に関するメモ書

Soundcraft Ui12 リモートコントロールデジタルミキサー

サウンドハウス - SOUNDCRAFT ( サウンドクラフト ) / Ui12

3行でまとめると

  • Soundcraft から リモートコントロールする デジタルミキサーとして Uiシリーズが販売されている
  • ベリンガーなどのリモートコントロールミキサーとちがい専用アプリではなくブラウザでミキサーを操作できる
  • おまけのエフェクタではなく、本格的なLexiconのリバーブに、dbxのコンプも使える

目次

ミキサーのメーカーとしては定番で実績あるサウンドクラフトから面白いミキサーが発売されています。 それがUiシリーズです。


Soundcraft Ui Series - Any Device. Anywhere. #FreedomToMix

http://adn.harmanpro.com/product_attachments/product_attachments/3152_1468013598/ui12_vert_medium.png

www.soundcraft.com

proaudiosales.hibino.co.jp

そして、もうすぐ国内でも後継でパワーアップした Ui24R が発売されます。 これがまたスゴイんですが、今回は Ui12 を自宅や小規模ライブで使ってみたのでそのレビューを書いてみたいと思います。

proaudiosales.hibino.co.jp

Wifi アクセスポイントとWebサーバーを内蔵しブラウザでミキシングできるデジタルミキサー

まず、自分がなぜ他社の同じようなリモートコントロールできるミキサーではなく Ui12 を買ったのかについて。

ベリンガーやマッキーにも同じようなリモートコントロールができるデジタルミキサーがあるのですが、 購入に至らなかった点は専用のアプリをインストールして使うことが前提となっていた点でした。 専用アプリなのでUIなどは使いやすいし反応も良さそうなんですが、iOSのバージョンアップなどでアプリがサポートされなくなったらなどを考えると アプリが原因で数年後には辛いことになることも考えられます。 「どうせなら、WebブラウザでHTML5canvas使ってwebsocketでUI作ってくれたらなぁ(超大変そうだし自分だったらやりたくないけど)」なんて思っていました。

そうすると、なんとSoundcraftからまさしくWebブラウザをUIとしたリモートコントロールデジタルミキサーが出てきたではありませんか! 百聞は一見にしかず!ということで、UIのデモは以下のページで確認できます。

専用のアプリは不要。HTML5でwebsocketが動く最新のブラウザであればOK。 しかも同時接続数は10端末。フェーダーをいじれば他のブラウザの画面にも即座に反映。すごい。変態。

補足するとこのUiシリーズはSoundcraftがゼロから開発したのではなく SM Pro Audio が開発した uMix を Soundcraft の開発している Harman の元で内蔵エフェクタなどを高品質なものにパワーアップしたもののようです。 筐体なんてほぼそのままっぽいですね。

ブラウザでのミキシング

PCでもスマホでもブラウザさえあれば、UiミキサーのWifiアクセスポイントに繋げるだけですぐに利用できるのは便利です。 古い端末 (iPad2, Nexus5) での操作も全く問題ありませんでした。

操作性でいうと、PCのタッチパッドでの操作はタブレット端末に比べるとやはり少し使いづらいですね。でも数字キー(1~8) でミキサーやAux画面への切り替えショートカットになっているなど便利な部分もあります。 また、スマホで操作するのはやはり画面が小さいので演奏しながらの細かな調整は厳しいと思います。

Goodポイント

なんといってもエフェクタが豪華

Lexiconのリバーブに、dbxのコンプが使えるんですよ。もうこれだけで持ち運ぶ機材的にどれだけ少なくて済むことか。 実際に掛かり具合を聞いてみても納得のいく音質でした。

とにかくブラウザがあればOK

ベリンガーなど他のリモートネットワークミキサーだと専用のアプリをダウンロードしてというパターンが多いです。 確かに、そのほうがUIもリッチにできるというメリットはありますが、古いiOSではアプリがダウンロードできないとか iOSのアップデートでアプリが動かないなどの心配事も増えます。 それに対してUiシリーズは、ブラウザさえあればOK。 OSのアップデートで悩まされることはありえません。素晴らしすぎますね。

複数の端末でミキサーをいじれる

websocketでやりとりしているので、いわば複数の端末でミキサー画面を開いていてもそれぞれの画面が同期します。 分かりやすくいうとチャット画面を複数人でみているのと同じことなのですが、プレイヤーが自分の端末でモニターを調整できるのはほんと便利です。

USBメモリから再生、録音ができる

高機能ではないのですが地味に便利ですよね。BGM再生とか事前にUSBメモリにmp3入れておけばOK。 ちなみに録音されるチャンネルはステレオアウトです。

ヘッドホン端子が追加のAUXになる

Ui12のいいところは、AUXを最大4つまで増やすことができるという点。 ヘッドホン1,2 用の出力を設定を変えるとAUX3, 4に! ちなみにヘッドホン1がAUX3に、ヘッドホン2がAUX4になるのかと思ってたらそうではなくて ヘッドホン1,2 の LがAUX3, RがAUX4 になるみたい。

有線LANで接続できる

無線LANだけだと混線などで死んだら終わりですが、有線LANを使って確実にミキサーに接続できるようになっています。 信頼性を第一にするなら無線LANだけしかないとかほんと無理だと思います。 (実際に無線LANはダメだなと思ったのでそれは下のBadポイントにでも

フットスイッチでエフェクタのON/OFFができる

これは1人で演奏からPAまでやるときには嬉しい機能ですよね。 ミキサーそのものはステージにおけるので、Ui12に接続したフットスイッチでMCの間はエフェクタを切る。といった使い方ができます。

Badポイント

実際使ってみて辛かったこともそれなりにありました。以下に感想をまとめておきます

Wifi が安定しない

Ui12 は 2.4GHz帯です。そのため、wifiが利用されることが多い会場などでは混線したりし接続が安定しません。 絶対に接続を切らしてはダメな場面では 有線LANを接続し直接PCとつなぐか、5.2GHz帯が利用できるルーターに接続して使うなどの対応が必要です。 Ui12のようなリモートミキサーは接続できないとお手上げのため、2.4GHzのネットワークはそんなに信用しないほうが良さそうです。

ちなみに Ui24Rは標準で5.2GHz帯も使えるので安定度増してそうです。

Webサーバーが応答しなくなるときがある

Ui12は内部にWebサーバーがあり、そのサーバーとwebsocketでデータのやりとりをしているのですが、なぜかこのWebサーバーが長時間起動させていると応答しなくなるときがあります。原因は分かっていませんが電ぷちすれば復活します。

これも自宅で利用するようなぐらいであれば困らないけど、ライブなどで起きると事故ですよね。

操作はある程度慣れないと厳しい

色々できるということは、それだけどの画面に何があるかを把握していないと即座に対応するのは難しいと感じました。 物理的につまみが並んでいるアナログミキサーであれば直感的に指が動くんですが、まだ考えて操作している感があります。 慣れれば快適になるのは間違いないのですがそのあたりは練習が必要ですね。

まとめ

ぶっちゃけ 上に書いたようなWifiの不満は もうすぐ国内でも販売が始まる 上位機種 Ui24R で解消されちゃってるし HDMIでモニタとUSBでマウス繋げばPCレスで操作もできるらしいし、AUXむっちゃ増えてるしみたいな意見あるのですが、 この本体の大きさで12ch使えることを考えると Ui12 は全然アリだと思いますよ!

価格

¥41,500 ~ 44,000 あたりが相場ぽい