音味

音響や配信に関するメモ書

Blackmagic Design ATEM mini レビュー (2) : Youtube live 配信で使ってわかったこと

前回は購入直後にファーストインプレッションレビュー書きましたが、実際にyoutube live 配信で使ってみたレビューを書いてみたいと思います。 一言で書くとコスパ最強で良い!で終わってしまうのですが、良い点は他の方がいっぱいレビューしていると思うので、辛かった部分について主に書いていきたいと思います。

f:id:brtRiver:20200326050532p:plain
オペレータのテーブルもATEM mini だと小さくてスッキリ

www.blackmagicdesign.com

4行でまとめると

  • 本体の発熱は多少あるが、数時間であれば安定した動作しコスパ最強
  • 本体のボタン操作はシンプルで良い。でも本格的に使うならソフトウェアコントロール必須
  • HDMI アウトが1つしかないのは不便。マルチビューも欲しい
  • 各入力をスケーリングできないのはスマホ画面取り込みやスプリット画面で辛い

目次

前回のファーストインプレッションのレビュー

otoaji.hatenablog.jp

今回ATEM mini を使った配信アーカイブ

ATEM mini の UVC(webカムとしてPCが認識)はPCに低負荷で安定

 何よりもライブ配信では安定した配信が大事です。ソフトウェアで色々制御しようとすると配信PCの負荷があがりソフトウェアが不安定になったり最悪はソフトウェアを再起動しないといけなくなることもあります。そのためにはできるだけハードウェアに重い処理をさせるというのは大事です。

 ただし、そうなるとハードウェアを買わなくてはならなくなりどうしてもコストが掛かるというのがあります。また HDMIをPCに取り込むために Elgato の Game Capture HD60 のようなキャプチャボードを用意したとしても、解像度が高いほどPCのエンコードのための負荷も掛かるため安定した配信をするためにはよりPCのスペックを上げる... といった苦しみがありました。

 ATEM mini ではPCとUSBで繋ぐだけで webカムとして映像が認識(UVC)されます。実際にPCの負荷を見ていましたが負荷は低くとても安定していました。ROLANDだとVRシリーズが同じ機能を装備していますが一番下のモデル(Roland VR-1HD) でも 14万~です。もちろん機能的には圧倒的にROLANDのほうが多機能なのですがコスパを考えるとATEM miniは強いです。

 一点不安定になったことがありましたが、それは繋ぎっぱなしにした状態でPCをスリープにするとUSBを抜き差ししても映像が認識されないということが稀にありました。おそらくそういう使い方は配信中においてはしないとおもうので大丈夫だと思いますが、web camとしてblackmagic designを選択してもい映らないときは電プチして本体を再起動すると認識されました。

 取り込んだ画面がどのように見えるかを確認するには、QuickTime Playerを起動し新規ムービー収録で確認するとわかりやすいと思います。

f:id:brtRiver:20200329093733p:plain
QuickTime Player の新規ムービーで ATEM miniの映像を確認

凝った映像表現をやりだすとATEM miniの本体ボタンを使わなくなった

 ただ映像を切り替えるだけ、なんとなくPinPをするだけなら本体のボタンで十分です。しかし自分の場合は本体ボタンだけではやりたいことができなかったためソフトウェアからの操作でほぼ配信のスイッチング作業を行いました。ではどういった操作をやった(やりたかった)のか書いていきます。

PinP の位置をカスタマイズしたかった

 本体にPinPのスイッチが付いていますが、固定された大きさを画面の上下左右に選ぶだけです。スライド画像を被せたい場合などサイズの調整はソフトウェア側からできます。

f:id:brtRiver:20200329094544p:plain
PinPはDVEというメニューで設定

 サイズや位置は矢印をポチポチするか直接値を入力し調整します。ROLANDみたいにツマミで調整できたらどんなに楽かというやつですね。。また、設定した内容は本体側のPinPボタンで操作してしまうと消えてしまいます!

 何もしらずに配信中に本体側のPinPボタンを押してしまうと「あれ、DVEの設定値忘れた。。。」ということになるので設定値は紙にメモするかスクショ取っておきましょう。

 スライドに被らないように演者をPinPで見せるという場面であれば、本体のPinPボタンは上下左右のスライドに被らない位置にすぐに移動できるのはとても便利でしたし、結局このアーカイブの動画ではPinP本体のボタンで出す位置の移動させるのは多用し助かりました。

PinP 残したまま画面切り替えたいのか、PinP消して切り替えたいのか場合によって使い分けたい

 ATEM mini は本体設定で、本体のボタンでのスイッチング時にPinPをスイッチング時に残す or 消すのどちらかの挙動を選択できます。しかし実際の現場ではどちらかというよりは場合によって使い分けたいでしょうし実際使い分けたかったのでソフトウェア側のネクストランジションパネルで設定しながらソフトウェア側のボタンでスイッチングしました。

f:id:brtRiver:20200311154122p:plain
ネクストランジションパネルで切替時のKEYを残すかどうか選べる

常に画面に画像を出しておきたい

 今回のアーカイブではOBSを使っているのでOBSでtwitterハッシュタグ画像のレイヤーを被せましたが、この配信とは別のときはOBSを使わなかったので代わりにATEM miniのダウンストリームキーヤーに用意した画像を常に載せるようにしました。これも本体からは操作できないためソフトウェアで操作しました

オーディオのレベル確認

 ATEM mini の本体に各チャンネルと外部入力音声の ON/OFFとボリューム調整ボタンが付いていますが実際にどれぐらいの入力があるのかは本体だけではわかりません。音は配信ではとても重要な要素です。小さすぎても大きすぎても見ている人にとてもストレスを与えます。

 今回の配信では全員がハンドマイクを持っていて、ミキサーを通してATEM miniにLINE入力していました。また、BGMは別PCからHDMIを通して流していたためその音声の大きさも確認する必要があります。

 そのためソフトウェアのメーターは常に表示し確認していました。黄色になるように意識し少し声量のばらつきが気になる場合はミキサー側でコンプを掛け、EQでローカット処理しました。

f:id:brtRiver:20200329100518p:plain
オーディオのレベル確認画面

 オーディオのON/OFFは本体からもできますし、本体でON/OFFかどうかをボタンのランプで確認できるのは便利でした。

オーディオのディレイ設定が無い

 外部オーディオ入力(mic/line)が2系統用意されていて、コンプ、リミッター、EQなど豊富なエフェクトが内蔵されています。これはとても良いのですが、配信で映像と音がずれる問題を解消するためのリップシンクのための音声ディレイ機能はありませんでした。

 これも価格を考えるとしょうがないと思います。が残念。もし音声をATEM miniに外部から入れる場合は、カメラのmic in 端子からHDMI経由でAMTE miniに流し込んだほうが遅延が少なくなるかもしれません。

プレビュー、マルチビュー専用のアウトプットが無いのは厳しい

 ATEM miniにはHDMIアウトが1つだけついていて、好きな出力を選択できます。これによってHDMIの分配器が無くてもATEM miniを経由して演者のプレゼン資料を現場のモニタに返すということも可能です。

 しかし、その目的で使ってしまうと配信時にスイッチングする先のチャンネルの映像の確認はできなくなってしまいます。4chだしそんなに複雑な使い方しないでしょ?とも思いますが、切り替えた先のPCが流れてはいけないチャット画面だったりするとすぐ事故になります。

 カメラの映像ならまだよくてもPCの画面はどうなっているかは事前にプレビューで確認できたほうがいいですよね。また、そもそもマルチビューを確認する方法がないので、マルチビューが必須だと思ってる方にはATEM miniは厳しいと思います。

この価格で求めるのは間違っているけどスケーリング機能が欲しかった

 2画面でスプリット機能はあるのですが、入力されたソースはそのままでどこで画面を分けるかという機能になっており、画面の一部を切り取ったり、ズームしたりという操作はできません。もしクロップしたりしたい場合は DVEで取り込んだソースに操作することになります。(なのでできないわけではないんですが)

 スマホ画面を入力ソースにしたい場合が複数ある場合は用途として厳しいかもしれません

どういった人にお勧めなのか?

オンラインイベントの映像スイッチャー兼UVCとして

 新型コロナの件で多くのイベントがオンライン開催になったりしています。そういうときにハンディカムとPCとATEM mini があれば演者のプレゼン資料を鮮明に写しながら演者も見せることが簡単にできます。それがこの価格でシンプルにできるのはとても魅力的だと思います。

ゲーム実況配信

 今回の自分の用途からは外れますが、クロマキーがとてもキレイに抜けます。ゲーム画面に自分自身を載せたり、またHDMIアウトにはダイレクトアウトもあるのでモニタリングの遅延も最小限にできると思います。

イベント会場のビデオスイッチャーとして

 配信だけでなくてもイベント会場のプロジェクタの前にATEM miniを挟んでおくと会場から開演までの間により素敵な演出が可能になります。民生用のスイッチャーで探すてもこの価格では現状他のものはないのでこれを機会に導入してみるのは良いと思います。

どこで購入できる?

 ちなみに、ATEM mini はコロナの件があってから一気に品薄になっているようです。amazonでも入荷待ち状態で1~2ヶ月は掛かるようです。(2020年3月現在)  ただし徐々に在庫も復活しつつあります。フリマやオークションサイトなどでとても高額出品されているようですが、急がないのであればもう少し冷静に待つほをオススメします

アフィリエイトリンク

amazonで購入
soundhouseで購入

Blackmagic Design ( ブラックマジックデザイン ) / ATEM Mini ライブプロダクションスイッチャー