音味

音響や配信に関するメモ書

AfterShokz OpenComm レビュー: 夏場のリモート会議で快適な骨伝導ヘッドセット。ただしマイクはあまり期待しないほうがいい

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AfterShokz OpenComm 骨伝導ヘッドセット
 リモートワークのリモート会議で夏場になって困ることは暑さと蒸れです。普段は耳が疲れないのと圧迫感の少なさを考え基本ヘッドホンを使っています。完全独立のイヤホンもありますが、外音取り込みモードにしないと自分の話している声のフィードバックが少なくて喋りづらかったりもするんですよね。

 そこで注目していたのが骨伝導イヤホンでした。色々レビューでも評価が高いAfterShokz OpenComm を購入したのでその高評価はいかに?というわけで使ってみた感想を素直に書いていきます。

OPENCOMMaftershokz.jp

3行でまとめると

  • 骨伝導で聞く音質はローは弱めだが会話を聞くには十分明瞭でクリアな音声
  • 外音とりこみどころか耳を塞がないので自分の声が普通に聞こえるためリモート会議で話しやすい
  • マイクの性能は感度が悪いのであまり期待してはいけない(設定を最大にすれば大丈夫)

目次

特徴

 レビューはあちこちで上がってるのでこのブログにたどり着いた人には基本的な説明は不要だと思いますがかんたんにAfterShokz OpenCommの特徴を。

骨伝導なので耳を塞がない

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骨伝導イヤホンの仕組み

 骨伝導はその名のとおり骨伝導で音を伝えます。つまりは空気を振動させる代わりに骨を振動させることで耳に音が届くわけですね。一番のメリットは耳を塞ぎません。つまりイヤホンやヘッドホンである夏場の蒸れの問題がないのです。

 ただ、通常のイヤホンも振動して空気を震わせているわけですから骨伝導イヤホンといっても音量大きくすると空気が振動するため普通に音漏れと同じ現象になり音漏れします。ここは注意です。

ノイズキャンセル機能付きマイクがついている

 

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DSPノイズキャンセリング・ ブームマイク

 ただマイクが内蔵ではなくてきちんと口元を狙いつつ、デジタル処理による周音のノイズキャンセル機能付きのマイクがついています。つまりオマケのマイクではなく使えるマイクが付いているということです。本当に使えるのか?これは後ほど...

AfterShokz OpenComm レビュー

装着感は最高

 OpenCommはマイクが付いているため、骨伝導イヤホンとしては決して軽いというわけではありませんが、それでも装着すると十分軽くメガネが必須な自分にとってもメガネの邪魔になりませんでした。ここは高評価です。

 ヘッドセットなので圧迫感があると嫌だなと思っていましたが、数時間連続で装着しても痛くなることもなく快適でした。

 また、マイクは顔に触れることなくカーブを描きちょっと浮いた状態でほっぺたあたりにくるのですが目線にそんなにはいることもなく気になることもありません。もしマイクを使わないときは上にあげておくことも出来ます。ただ、他のヘッドセットにあるようにあげたらマイクがミュートされるというような機能はありません。これは付けてほしかった機能ですね。

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OpenCommのマイクは使わないときは上げておくことも可能

 周りがうるさいときは音量を上げることになりますが、そうなると振動が耳により大きく伝わるためくすぐったいと思うときもありました。どういう場面で利用するかによりますがフルボリュームで聞く場合は快適度が下がる可能性があると思いました。

物理ボタンは操作しやすい

 ボリュームの+ボタンを押すと電源がはいり、長押し状態にするとペアリングモードになります。ボタンは物理ボタンで押しやすいので装着した状態でも慣れれば押すのはかんたんです。

 タップして操作するイヤホンが増えてますが、物理ボタンだと安心感ありますねw

動作が不安定なときがあるのはマイナス

 これは自分のOpenCommが初期不良だった可能性がありますが、接続後に出力としてOpenCommを選択している状態でマイクとしてOpenCommを選ぶと大音量でノイズが聞こえてくることがありました。一度出力先を別のものにしてOpenCommに戻すと直るのですがこれはちょっと不快すぎます。

 また、ボリューム操作するとなぜか左右のパンが右に行くみたいなのもありました。ハードはいいんですが、アプリケーションが不安定な印象を受けました。このあたりはストレスを感じる部分でした。

 交換してもらったOpenCommではノイズが聞こえてくることはありませんでした。もしかすると製品の品質はばらつきがあるのかもしれませんね。

 不安定な部分はありつつも、商品保証は2年間りますし実際にサポートとメールでやりとりしましたがスムーズでした。サポートの対応が遅いと不安に思うことがありますが、そういう点では良かったと思います。

OpenCommの骨伝導の音は会話を聞くには十分

 もともと会議でのモニタリングのために選んだOpenCommですが、期待を裏切らない快適な音質でした。コーディックはSBCなのでやはり解像度は下がるのですが音が籠もるということもなくはっきりと聞こえます。机に小さいスピーカーを置いて聞いている感覚に近いと思いました。つまり相手の声が耳から少しはなれたところから聞こえてくる感覚は対面で会議しているときに近いのでストレスなくてとても好印象。

 音質は中域が強めではあるけど高域もきちんとなってはいるのが分かる感じ。低域は音量を下げると明らかに出なくなるのがわかります。でも相手の声を聞くという目的ではむしろ聞きやすい音になると思いました。ボリュームを上げると今度は低域が元気になりすぎて振動で耳元がくすぐったくなりますし音漏れも激しくなります。つまりかなりのレンジのボリュームを選ぶことができるので小さい音がいい人から大きめの音がほしい人まで音の大きさでの不満はあまり出ないのではないかなと思いました。

コーディックはSBCだけどリモートのミーティング音質としては十分

 骨伝導イヤホンを複数のコーディックで比べたことがないので良いのかどうかの判断はできません。正直な感想は「SBCにしてはがんばってるんじゃない?」と思いました。

 せっかくなので、いつも聞いているtotoの曲を聞いてみましたがさすがに音楽を楽しんで没入するというのはムリでした。ただ籠もっている音ではないので普通にBGMとして聞き流したり、youtuberのコンテンツを流し見みるような場面ではむしろ最適かもしれないですね。

 音楽を楽しむ目的ではなく、ビデオ会議のモニタのためのスピーカーと考えるとOpenCommの骨伝導の音質は十分だと思います。

マイクの性能には過度に期待してはいけない

 ここは自分にとっては期待はずれでした。音質はまだ最低限をクリアしているとしてもとにかくマイクの感度が悪い。マイクの音が良いとか悪いとかではなくそもそも周音できる音が小さすぎて音量設定をさわらない接続しただけの状態ではビデオ会議で利用しても相手にきちんと聞こえない状態。設定でマイク感度を最大にしておく必要があります。PC側のマイクの音量を最大にしておけばビデオ会議の相手からは「音が小さい」という指摘はありませんでした。

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感度を最大にしても、メーターは真ん中あたりまでしか触れない

 ただ、PC側でマイクの音量を最大にしてもメーターの触れ方を見るとまだ小さいと感じるレベル。これだと会議のマイクとしては積極的に使うのはちょっと躊躇してしまいます。もちろん、zoomやdiscordにはマイクの自動音声調整機能があるのである程度は音量小さくても問題が無いとも言えますが、マイクの基本は適切な入力値にすることです。アプリケーションで音量を大きくしてくれてもその分余計なノイズも大きくなってしまいます。

 自分だけかと思ったのですが、そういう声はtwitterなどでも見られたので自分のOpenCommだけに問題があるわけではなさそうです。

 もともとマイクに期待して買おうと思ってる方も多いと思うのですが、あまり期待しないほうが良いと思います。ただ、全く使えないかというとそういうわけではありません。最低限の音質はクリアしているので、これ以下の音質になるAfterShokzの他のイヤホンに付属するマイクや、完全ワイヤレスのおまけのSBCのマイクを使うよりは1000倍良いと思います。

DSPノイズキャンセルの性能はほどほど

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側面のマイクで外部の音を拾いノイズキャンセルもしてくれる

 実際に騒音がある場所でmeetで録音した音で聴き比べてみましたが、多少は効果があるかなという感じで、あまりOpenCommのノイズキャンセル機能には期待しないほうが良いと思いました。

 もし本気で環境音やノイズを除去したいのであれば Krisp を入れて使ったほうがいいですね。

  jp.vcube.com

meetの録画で聴き比べ

 よくビデオ会議で使うmeetで実際で録音してみるのが一番違いがわかるだろうということでカフェの環境音を流している状態でmeetの録画を行ってみたので聴き比べてみると参考になると思います。上で書いたように最低限のレベルをクリアしている音声だというのがわかってもらえると思います。

EarPods のマイク

 EarPodsだと結構まわりの音を拾ってしまってますよね。

AfterShokz OpenComm のマイク

 EarPodsよりは環境音拾っていないのがわかると思います。ただしEarPodsと比べると声質が籠もった感じになって明瞭さは結構落ちているのがわかります。

SHURE MV5 + Krisp でノイズリダクション

 話すときにノイズのっているので解像度はおちてしまうけど、環境音はきれいにキャンセルできているのがわかると思います。OpenCommのマイクを使うのはシンプルなソリューションだけど、別途マイクを用意し、ノイズ対策はKrispを使うほうが相手にストレスを与えないのは間違いないですね。

まとめ

 骨伝導イヤホンで夏場でも蒸れずにリモート会議を行うという目的には完璧なイヤホンでした。聞こえ方も自然ですし、耳の疲れも少ないと感じました。骨伝導イヤホンとしての完成度はとても高いと思います。

 その一方で肝心のマイクの性能についてはもうちょっと頑張ってほしかった。たしかにいままでのAfterShokzの骨伝導イヤホンについていたマイク性能よりは上かもしれませんが一昔前の電話音質という感じ。なので、骨伝導イヤホンとして使いつつマイクは別のものを使うという人が多いんじゃないかと思います。

 また、突然ノイズが発生したりと動作が不安定な部分も個人的にはマイナス評価でした。

 いろんな人のレビューが高評価だったのでその期待が大きすぎた部分があったかもしれませんが、もし購入を検討されている方でマイク性能を期待している方は一度実機をお店でためしたほうが失敗しないかもしれないですね。

OpenCommどういう用途に向いているか?向いていないのか?

会社の自席からのリモート会議のヘッドセットに最適

 一番最初にも書きましたが、耳を塞がないという点はリモート会議のモニタとして向いています。夏場のような蒸れる季節の長時間の会議でも快適にこなせます。また自分の声が聞こえるので話しやすいというのもあります。また本格的なマイクも付いているのでマイクを別途用意する必要もなくOpenCommさえあればOKということになります。

 アフターコロナになってもリモートの人と出社している人が会議する場面は多くあるでしょう。そうなると常に会議室で会議するよりも自席でmeetやzoomで会議に参加することが増えるでしょう。そのときに会社にOpenCommがあれば周りの雑音を軽減しながら話すことができますし話しかけられても聞き逃すということもありません。会社の自席には1つ常備しておきたいヘッドセットだと思いました。

 また、骨伝導なので直接耳に振れる箇所は少ないため、通常のヘッドホン、イヤホンよりも衛生的だと思います。なので、会社で複数台を買っておいてリモート会議で必要なときに社員に貸し出すみたいな運用も可能ではないかと思います。

仲間とのサイクリングでのインカム代わりに最適

 耳を塞がないので周りの状況判断の邪魔になりません。かつLINEなどでつないでおけば会話しながらサイクリングを楽しむということもできるんじゃないでしょうか。(通信費はかかりますが)

本格的に音楽を楽しむ用途には不向き

 骨伝導はそもそも空気の振動ではないためどうしても音の解像度は下がるというのは実際聞くとよくわかりました。「いい音で聞きたい!」のであれば普通にイヤホン、ヘッドホンで聞きましょう。

電車では使えない

 普通に音漏れします。通勤で使いたいのであればノイズキャンセル機能付きのイヤホン、ヘッドホンにしましょう。