ATEM mini を使ってビデオ会議で相手が聞きやすい声にする
ATEM mini のオーディオ設定には本格的なEQ, エクスパンダー、コンプレッサー、リミッターの設定がソフトウェアから行うことができます。 ただ、慣れていないとよくわかりませんし適当に設定することで音が不自然になることがあります。
そこでATEM miniを使っている方でダイナミクス設定がよくわからない方にコツを簡単にまとめてみたいと思います。
目次
- 目次
- 4行でまとめると
- 設定する前にマイクの位置を確認
- エクスパンダーで話さないときの環境音を小さくする
- コンプレッサーで粒を揃える
- メイクアップで音量を持ち上げる
- リミッターで突然の大きな音を抑え込む
- モニタリングしながら調整
- まとめ
4行でまとめると
- 設定は最低限に。まずはマイクの位置を適切に
- エクスパンダーの設定をすると話さないときの環境音を小さくできる
- 声が小さいと言われたときはコンプレッサーを掛けてメイクアップで全体の音量を上げる
- 笑い声など大きな音量が入ると音が歪むのでリミッターを掛ける
設定する前にマイクの位置を確認
ダイナミクスの設定は音質を変化させます。これは変化させることで声質が聞こえやすいけど不自然になるということです。できるだけそうならないためにダイナミクスの設定をする前にマイクと口との位置関係を確認しましょう。また声質によってどれほど籠もって聞こえるかが変わってきます。自分の声をQuickTimeなどで録音しどれぐらいの距離が自然に聞こえるか調整しましょう
図の見方
図の見方さえ覚えればだいたい終わりです。ポイントは横軸は入力の音の大きさ、縦軸は出力の音の大きさを表しています。そのため、斜め線がまっすぐなときは入力の音の大きさと出力の音の大きさが同じということです。
エクスパンダー、コンプレッサー、メイクアップ、リミッターを操作するとこの線が変化します。
設定内容を図から読み取る
それがわかればこの図を見ればどういう設定になっているかわかりますね
入力の音が小さいときは、出力の音は実際の入力音よりも小さくなっています。ある程度の大きさまで入力が入ってくるとむしろ入力の音よりも大きな音になっています。そして、入力の音がさらに大きくなってくると徐々に小さくなり最後は一定の音量以上には出力ならないように制御されています。
これを図に書き込むとこのようになります。
簡単でしょ?これがどういう効果があるのかを簡単に説明します
エクスパンダーで話さないときの環境音を小さくする
エクスパンダーやゲートは小さい音に対して変化を加えるダイナミクス設定です。テレカン(ビデオ会議)では常に話すわけではありません。相手の会話を聞いているだけでもあなたのマイクは音を拾っています。たとえばPCのタイピング音、エアコンの音、PCのファンの音です。
話していないときはマイクは音を拾わないようにもできますが(ゲート)、そうすると声を出したときにマイクをONにするまでにどうしてもラグがあるため発声時の音が不自然になることがあります。そこで、エクスパンダーは小さい音をより小さくする処理することで発声時の不自然さをできるだけ軽減することができます。
注意点はノイズリダクションではありません。話している間は環境音はマイクが拾います。しかし声のほうが十分大きいため環境音はそこまで気になりません。またノイズリダクションではないので声質が劣化することもありません。
zoom, Discordなどではこれらの音を抑える機能がアプリケーションに備わっていますが細かく設定はできません。場合によっては音がプチプチ切れてしまうことも。QuickTimeで無音状態を録音して何が自分の環境音なのかを確認し、それが気にならないようにエクスパンダーの設定をすると良いです。
コンプレッサーで粒を揃える
コンプレッサーは音の粒を揃えるために使います。人の声はうなずきのような小さい音もあれば、笑い声のような大きな音もあります。コンプレッサーを使うことでそれらをできるだけ均一に聞こえるようにすることができます。ただし、コンプレッサーを掛けすぎると音が潰れるため聞きづらい音質になることがあるので注意です。
メイクアップで音量を持ち上げる
メイクアップはコンプレッサーと一緒に使います。コンプレッサーでは音の粒を揃えるため大きな音が小さくなります。そのためコンプレッサーを掛けるだけでは音が小さく聞こえてしまいます。そこでメイクアップで全体の音量をあげます。こうすることで音の粒を揃えつつ音を大きくすることができます。もしそもそも音が大きいのであればメイクアップする必要はありません。
また、メイクアップで大きくなる音には環境音などのノイズも含まれます。メイクアップを上げることで環境音などノイズが気になるような場合はマイクと口の距離など環境音ができるだけ入らないように調整しましょう。
リミッターで突然の大きな音を抑え込む
リミッターは過大入力音を通さないダイナミクスです。マイクに向かって咳をするとピーク音量に達しデジタル特有の歪んだ音になります。またテレカンでは相手がヘッドホンで聞いていることがほとんどです。その場合は突然大きな音が聞こえるととても不快になります。それを軽減できるのがリミッターです。
モニタリングしながら調整
実際にテレカンするときはPCの画面にSoftware Controlのダイナミクスの画面を表示させておきながら効き具合を確認すると良いです。音が大きすぎるなどの傾向があればマイクの距離を調整したり、設定をいじるようにしましょう。
まとめ
テレカンで相手が聞きやすい声の音にするためのダイナミクス設定の効果とコツについてまとめてみました。別途ソフトをいれなくてもATEM miniには十分な機能が備わっています。
この記事では敢えてスレッショルド(しきい値)、アタック、リリース、レシオといった用語には触れずに説明しました。まずはどういったことができるのかを理解できれば難しくはありません。自分の耳を信じて色々調整しると楽しさアップです。