音味

音響や配信に関するメモ書

赤ちゃんが泣いていても快適にテレカンできるマイクセッティング

【2021.06.24 追記】この記事に書いていることはあまり真似できるものではないので、より現実的に実現可能な方法について記事に書いたのでこちらも参考にしてみてください

otoaji.hatenablog.jp

 新型コロナの影響でしばらくはリモートワークが中心になっている方は多いと思います。ただPCに向かってする作業を家でするだけならそこまで困らないのですが一番困っているのがテレカン(ビデオ会議)です。

 我が家は賃貸ですし、2歳と4ヶ月の二人の子供がいます。物理的に部屋を確保しても隣の部屋から聞こえてくる泣き声は想像以上に自分の声と被って聞こえてしまう状態でした。リモートワークするならテレカンも納得いく音質でやりたいという思いでがんばってみたのでブログにまとめてみます。

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Bauhutteの机にできあがったテレカン環境

4行でまとめると

  • 高速なインターネット回線は必須
  • 赤ちゃんの声が入ったとしても自分の声がしっかり聞こえるようにショットガンマイクを頭上に設置
  • ショットガンマイクだけだとちょっと硬い感じの音になるのでラベリアマイクも併用
  • ゲートでしゃべらないときの赤ちゃんの泣き声を通さない、リミッタで咳やくしゃみで歪まないように

目次

高速なインターネット回線は必須

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自宅のsonet光回線の速度

 自宅でポケットwifiを使っていた時期もありましたが、遅い時間帯があったり待ち時間はもったいなさすぎたので今はsonet光にしています。なので回線が詰まるなどで困ることはありません。しかし、テレカンしていると回線が弱くて映像がカクカクしたり音声も聞き取れなくなる人もいます。しょうがないのですがやはり明瞭な会話でやりとりできないと直接顔が見れないテレカンではより集中力が必要になりますし、聞き返せなくてよくわからなかったということも起きると思います。

 速い回線は正義です。どんなにマイクを揃えても低速なネット回線では快適なテレカン環境にできません。

環境音との戦い

SHURE MV5 はとても綺麗に音を拾えるが赤ちゃんの声も綺麗に拾ってしまう問題

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SHURE MV5 はとても綺麗に集音できるが...

 リモートワーク当初はSHURE MV5を使っていました。とても綺麗に集音できるのでテレカンでの評判は良かったのです。しかし、単一指向性なのである程度正面の音を拾ってくれるのですが赤ちゃんが隣の部屋で泣き出すとそれも綺麗に拾ってしまいます... これは指向性があるとはいえ30cmほど離れている場所にマイクがあるので致し方か無いと思います。

 逆に赤ちゃんなどがいない独身で静かな部屋でテレカンするなら SHURE MV5 で十分ですしお勧めです。

ハンドマイク (SHURE beta57a) を持って話す

www.shure.com

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約15cmほど離して胸元から狙う

 次にチャレンジしたのがSHURE beta57a という超単一指向性のダイナミックマイクを持って話すことでした。これはかなり良い感じに赤ちゃんが泣いても自分の声をしっかりと拾ってくれました。これで解決かと思いましたが問題がありました。

 マイクを直接持っているために持ち替えたりするときに発生するノイズ(ハンドリングノイズ)が気になるのと、長時間持っていると疲れます。さらにはメモをとりたくてもマイクを置かないといけないので手間です。これはブームスタンドを使うことで解消されますが映像をONにするとブームスタンドがかなり映像的に邪魔です。

 というわけでこの方法は赤ちゃんの声が大きくてどうしようもないときは有効ですが常用するには厳しいという判断に。

ラベリアマイク(ゼンハイザー XSWD ME 2)を使う

ゼンハイザージャパン株式会社 | SENNHEISER XS Wireless Digital

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ゼンハイザー XS Wireless Digital ラベリアマイク(ME 2-II )

 映像的にも邪魔にならないのであれば、手で持たなければ良いという発想でラベリアマイク(ピンマイク)を使うことにしてみました。ワイヤレスである必要はないのですが、絶対にコーヒー飲みに行くときに外し忘れてケーブルにダメージ与えるなと思ったのでワイヤレスにしました。

 付属のラベリアマイクは指向性マイクではなく無指向性マイクです。これは無指向性のマイクのほうが服の擦れなどのノイズに強いからでありラベリアマイクでは無指向性のマイクが多い印象です。おそらく扱いやすいからなのだと思います。ここは自分の用途としては指向性のほうが合ってる気がしたので迷いました。ただ口元の近くに設置すれば無指向性でもそれなりに良いのではないかと考えマイクは付属マイクで試してみることに。

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ラベリアマイクは目立たなくて良い

 実際にテレカンをしてみてSHURE MV5よりはかなり良い感じになりましたが、beta57のマイクよりは環境音を拾ってしまいます (それは無指向性なのでしょうがない)。ただ、思った以上に腕組みしたりする癖があるのでケーブルに触れてマイクが動いてしまったりすることがありましたがノイズはそこまで気にならない感じでした。

 また、子供が突然扉を開けたときに閉じるために席を立つときもマイクをつけたまま移動できるので、そのまま話せるというのは便利でした。

 そうなると無指向性じゃなくて単一指向性のマイクのほうがいいな。。という結論になるので、同じくゼンハイザの単一指向性のラベリアマイク ME4-N を買って試してみたいと思います。

 [20200414追記]  単一指向性のME4-Nを試してみましたが、たしかに環境音は減りましたが、ケーブルを触ったりするだけでもガサガサとノイズが乗りやすいと感じました。結論使いやすさでいうと無指向性マイク(ME2)のほうが自分にはあっていそうでした。

 そして、これでも十分よさそうなのですが、敢えてさらにチャレンジしてみることに

ショットガンマイク (ゼンハイザー MKE600) を使う

www.sennheiser.co.jp

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MKE600をアームスタンドでほぼ真上から口元を狙う

 最後に追加したのがオーバーヘッドからショットガンマイクで集音することでした。youtubeに上がっているレビュー動画を聴き比べるとゼンハイザーのMKE600がかなり明瞭に音像を捉えてると感じたので、MKE600をブームスタンドで頭上から口元を狙ってとってみました。

 MKE600にはホットシュー取り付け用ショックマウントが付いていてカメラにつけることで顔の正面からしっかりと集音できますが、その場合は隣の部屋からの子供の声もそれなりに拾ってしまう可能性があります。そのため指向性を活かして真上から狙い隣の部屋の音を拾わずにしっかりと自分の声を拾うように狙いました。

 MKE600はファンタム電源をケーブルからではなく単三電池からでも電源供給可能です。試してみたところ明らかに単三電池から電源供給したほうがホワイトノイズが少なかったため、単三電池で運用しています。電池1本で150時間運用できるようです。

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乾電池からのON/OFFとハイパスフィルタのON/OFFスイッチ

 肝心な音ですが今までで一番周りの音を拾わずに声にフォーカスがあたっている感じがします。隣の部屋で赤ちゃんが泣いていたとしても自分の声のほうにはっきりとフォーカスがあたっている感じがします。これであればテレカンの相手にもしっかりと聞こえるのではないかと思いました。

 イマイチな点がないかというとまだあります。それはショットガンマイクを頭上から狙っているからというのもありますが音が細くなっていると感じました。そして冷たい感じの音になってしまっているので長時間この声質で聞いていると少し疲れるのではないかなと思いました。

 また、机の上を狙うことになるので、ノートPCのファンの音やキータイプ音もそれなりに拾ってしまいます。タイピングしながら話す場合はゲートを設定したほうが良さそうです。

ショットガンマイクとラベリアマイクを混ぜる

 そして、最後に行き着いたのはショットガンマイクとラベリアマイクの音をミックスするという方式でした。割合でいうと色々調整して ショットガン: ラベリア = 4:6 ぐらいが良さそうでした。ショットガンマイクのほうが高音域を綺麗に集音できているのと、ラベリアマイクのゲインを上げていくと3kHzあたりのホワイトノイズが気になるのでラベリアマイクはEQで高音域をカットしました。

 同じ音源を複数のマイクで狙う場合にはマイクと口の距離が異なるため位相差が生じ不自然な音になったりすることですが、両方のマイクともそれなりにだいたい同じぐらいの距離なので位相差による音の不自然さは感じませんでした。

ミキサーでゲートとコンプ(リミッター)を掛ける

proaudiosales.hibino.co.jp

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Ui12 のDYN設定でゲートとコンプを掛ける

 マイクのセッティングが良い感じになったので手持ちのミキサー Ui12 で各チャンネルにゲートを入れました。Ui12にはデジタルのdbxのゲート、コンプレッサーが入っています。さすがdbxです。ちょっと強引にゲートを高めのスレッショルドで掛けてもそこまで発音時の声は潰れません。

 とはいえ聞いてる方が自然に聞こえるように調整し無理がない程度のゲート設定をしました。これで発言していないときはゲートが掛かって隣の部屋で母子が会話しているぐらいであれば拾われることがなくなりました。

 また、ラベリアマイクは咳き込んだりすると過大入力に簡単になってしまいます。そこでラベリアマイクにはコンプのレシオを∞:1にし、リミッターぽく設定することで万が一咳き込んだとしても相手に不快な大きな音にならないようにしました。

 ちなみに、手持ちのミキサーはUi12ですが、Ui24Rのほうがヘッドアンプも良いですしリモート接続も5G帯のWifiのため安定しています。もし買うなら断然Ui24Rがおすすめです。

blog.landr.com

ATEM mini の オーディオのON/OFFボタンが便利

ATEM Mini | Blackmagic Design

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ATEM mini には外部オーディオのON/OFFの物理ボタンがある

 最終的に音は ATEM mini を経由しPCからZoomなどの音声として利用していますが、ATEM mini の本体には 外部オーディオのON/OFFができる物理ボタンが付いています。このおかげで話さないときはZoomの画面でON/OFFをしなくても物理ボタンでON/OFFができます。これは実際にテレカンをしていてとても便利でした。

まとめ

 結果それなりに満足のいく環境ができました。ショットガンマイクを使うだけであれば常に机にセッティングされているので準備時間もかかりません。突然テレカンが発生することもありますよね。

 ただ、ブログに書いていて思ったのはこのやり方はやりすぎですね。とはいえ子供や赤ちゃんの声がどうしても大きく拾われてしまって困っている方は自分以外にも多いと思いますしそういった方の参考になればと思います。

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