ノイズキャンセル 機能は強ければ良いってものじゃない
3行でまとめると
- ノイズキャンセルは難聴防止など耳にやさしい機能
- 人間は無音環境に置かれると耳鳴りがする (脳みそが疲れる
- ヘッドホンはノイズキャンセルの効果は大。イヤホンはイヤーピースなどで遮音を高めると自然な音に
目次
ノイズとノイズキャンセルを知る
ノイズキャンセルの効果
まず最初にノイズキャンセルがどういった効果があるかをあらためてまとめてみたいと思います。
ここでのノイズは本来聞きたい音ではない環境音のことを指します。ノイズよりもスピーカーから聞こえる音(たとえば音楽)を聞きたいわけですから、ノイズの音量が大きいと音楽が聞こえるようにするためにボリュームを上げることになります。そしてノイズよりも十分な音量で聞こえればそもそもノイズだと認識しなくなるので音楽に集中することができます。ただし、音楽のボリュームを上げるということは耳には優しくありません。
大きい音で聞き続けると難聴の原因になりますし、実際に難聴になってしまうと治療で完治することは難しくなってしまうことも多いです。
視力低下はメガネをつけて改善するように、難聴になったり耳鳴りがひどくなったりした場合は補聴器をつけるという選択肢が出てきたりします。そんなことがないように、且つ都会の騒音の中でも音楽を楽しむための機能としてノイズキャンセル機能が有効です。
ノイズを軽減する方法
ひとつは耳とイヤホン、ヘッドホンの隙間をできるだけ無くすことで外音を遮音することでノイズを軽減する方法(パッシブノイズキャンセリング)です。つまりヘッドホンよりもカナル型のイヤホンのほうが騒音にたいしてノイズキャンセル効果が高い理由です。
もうひとつはアクティブノイズキャンセルといわれる、外音を打ち消す音をスピーカーから鳴らすことでノイズ成分が聞こえなくする方法です。装着感を犠牲にせずノイズを打ち消すのでヘッドホンタイプではノイズキャンセルをONにすることでより効果がはっきりと分かります。
ノイズキャンセリングの基礎知識 ~アクティブ?パッシブ?とは | 雑学コラム | コラム | ヘッドホン・イヤホン | JVC
ノイズ が無ければ良いというわけではない
また、仕事に集中したいときにオフィスの周りの声などが大きくて集中できないのでノイズキャンセル機能を探しているという方もいるかもしれません。この点においては1つ注意が必要です。
ただ静かであれば集中できるかでいうと、音楽を聞かない状態でノイズキャンセルをONにしてほぼほぼ無音空間にしてしまうと場合によって脳みそは "本来聞こえるはずの音が聞こえていない" と勘違いして耳の感度を上げようとします。その結果、本来は聞こえないはずの音が聞こえてきてしまうことがあります。これが耳鳴りです。
大事なのは、環境音を集中を阻害しないレベルまで下げることで無音ではないということです。そのために音楽を聞きながら仕事するというのが1つの解決方法だったり、その音楽をより小さな音で聞きながら作業できて耳にやさしいのがノイズキャンセル機能です。
そのため、同じノイズキャンセル機能であっても各社完全に無音を目指していないので各社それぞれの特徴が出てきているのだと思います。
ノイズキャンセル機能が音質に与える影響は少なからずありそう
データをとったわけではなくて自分の個人的な感想でありますが、アクティブノイズキャンセルによるノイズキャンセルは聞いている音そのものにも影響を与えていると感じています。
仕組みとしてノイズキャンセルを打ち消すための音もスピーカーから鳴っている状態ですが、その音はイヤホン外部のマイクを集音した音から生成されていて、それを打ち消すための波形と本来の音楽の波形が混ざって鳴っているということになります。
ノイズキャンセル機能をONにすることで騒音が少なくなるので全体の音量を小さくして聞くことができますが、その分打ち消すための音の成分も大きくなるため外音がうるさい場合は音量を下げていると聞いている音の解像度が落ちているんじゃないかなと思います。
よく、ノイズキャンセルONだけの比較で選んでいるレビューがあったりしますが、ノイズキャンセルが強い = 音質が良い ではないと思います。ここはノイズキャンセルをONにした状態で音楽を聞きながら評価しないとわからないんじゃないかなと思います。
また、アクティブノイズキャンセルにはこういった点があるので、イヤホンではイヤーピースを耳にあったものに交換して遮音をしっかりすることのほうがより高音質で楽しむためには優先度が高いと思います。
ノイズキャンセルとの付き合い方
ノイズキャンセルの強さを極めたSonyと王者Apple。自然なBose。音質第一なゼンハイザー
多くの方が現状(2021年3月)で強いノイズキャンセルを選ぶとなるとSonyかAppleにたどり着くと思います。自然なノイズキャンセル機能を軸でえらぶと歴史があるBoseにたどり着く人が多いと思います。
また、アクティブノイズキャンセルが音質に与える影響を考慮し音質に影響を与えない程度に薄くしか掛からないノイズキャンセル機能を搭載したゼンハイザーの MOMENTUM Treu Wireless2 のような機種もあります。
強力すぎるNCは、気圧の低い部屋にいるようなキーンとした感覚に襲われる事がある。ゼンハイザーはこれを“音楽体験上で排除すべき要素”と捉え、あえてNCの効きだけを追求しすぎないフィードフォワード方式を選択した。 【レビュー】音楽好きのための完全ワイヤレス、ゼンハイザー「MOMENTUM TRUE WIRELESS 2」 - AV Watch
さきほど書いたようにノイズキャンセルは完全にゼロにすれば良いというわけではないので各社ノイズキャンセルに対する考え方が違うのでこのような結果になっています。
アクティブノイズキャンセルはノイズキャンセル機能だけではなく、そのマイクを使って外音取り込みモードが用意されている機種が多いです。この取り込み音質を各社で比べると違いがわかりやすかったりします。取り込みモードのときの音質が違和感ある機種はノイズキャンセルで生成されている音質も雑で、本来聞きたい音楽にも影響与えてるとかあるんじゃないかなと思います。(想像ですが)
それでもノイズキャンセルだけを追求しますか?
ノイズキャンセル機能は体験するとあまりの感動にびっくりするものです。ただ、同じように脳みそもびっくりしています。ノイズキャンセルの強さだけを求めなくても良い人も多いのではないでしょうか?
完全無音を目指すのではなくて気にならない音量まで外音を減らしながら、本来聞きたい音のボリュームを小さくしつつ耳に優しい音量で聞くことができる環境を作れるかどうかです。
また、イヤホンであればイヤーピースを自分の耳にあったものを探す旅をしたあとに機種ごとのノイズキャンセルで自分にあったものを探すとより満足度は高くなりますし、耳、脳みその疲れも軽減すると思います。
というのを MOMENTUM True Wireless2 を買って、あまりのノイズキャンセルの弱さにびっくりしながらもノイズと向き合えた感じがしたので書いてみました。